新型コロナウイルスについて飼い主の皆様へ

新型コロナウイルスが国内で広がる傾向がある中、香港で犬の喉から検出されたとの報告もあり、心配されている飼い主さんも多いかと思います。感染症に対応するためには、正しい知識が重要となります。そこで日本小動物獣医師会では、現在までに分かっている学術情報をもとに新型コロナウイルスについてまとめました。

コロナウイルスってどんなウイルス?

コロナウイルスは、コロナウイルス亜科とトロウイルス亜科の2つの亜科があり、その中のコロナウイルス亜科は、アルファ、ベータ、デルタ、ガンマの4つの属に分かれます。アルファとベータは主に哺乳類、デルタとガンマは主に鳥類から検出されています。

犬や猫コロナウイルスは、アルファコロナウイルス属に分類されます。犬猫のコロナウイルスは腸炎など、消化器症状を起こすウイルスで呼吸器の症状は起こしません。猫のコロナウイルスは変異して猫伝染性腹膜炎(FIP)という腹膜炎や神経炎などを引き起こす病気を起こすことがあります。

今回の新型コロナウイルス(COVID-19)は、2002年から2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や2012年以降、中東諸国を中心に感染者が報告されている中東呼吸器症候群MARSとともにベータコロナウイルス属に分類されます。犬や猫ではベータコロナウイルス属による病気は発見されていません。

ベータコロナウイルス属には、コウモリのコロナウイルスがいくつか含まれていて、その中のSARSに似たコウモリコロナウイルスの遺伝子情報が新型コロナウイルスと高率(96%)に一致することから、新型コロナウイルスの発生元はコウモリではないかと推測されています。日本のコウモリが新型コロナウイルスを持っているかの調査情報はまだありませんが、我々が見かけるコウモリはほとんどアブラコウモリというコウモリです。今回感染元と疑われているキクガシラコウモリ(SARSの感染源と言われているコウモリ)は洞窟などに住み一般的な市街地に飛んでくることはほぼありません。

 ちなみに、鳥類のコロナウイルスではガンマコロナウイルスによる鶏伝染性気管支炎という病気があり、キジ目(鶏、七面鳥、ウズラなど)で病気を起こしますが、他の野鳥やペット鳥では問題を起こさないようです。

ペットに新型コロナウイルスするは感染るの?

現状の新型コロナウイルスの感染の広がりはヒトからヒトへの感染となっています。香港で新型コロナウイルス感染者の飼育する犬から弱陽性反応が出たとの報告があり、ヒトからペットへ感染した可能性が出てきました。しかし、この犬には症状は認められず、ウイルスが体内で増えたり、体外への排出も確認されていません。そのため、ヒト→ペット→ヒトで感染が広がっていく可能性はほとんどないと考えていいでしょう。

 しかし、ペットが体にウイルスを付着させて新型コロナウイルスを運搬したり、今後新たな変異が起きてペットが発症をする可能性も完全には否定することは出来ませんので、ヒトと同じようにペットもウイルスに触れる機会を減らす対策を取っていただくことが推奨されます。

 具体的には、ヒトのたくさん集まるような場所にペットを連れて行くことは避け、他人のペットとのスキンシップは極力控え、直接顔や口を舐められたりしないようにし、手洗い、消毒をしましょう。コロナウイルスには70%消毒用アルコールや0.1%次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効とされていますが、ペットの体を直接消毒するには注意が必要です。除菌タイプのペット用体拭きなどを使用するほうが安全です。

ペットの鳥は基本室内飼育なので犬猫と同様な対策で問題ありませんが、レース鳩など野外に放す鳥は野鳥と同様にウイルスの運搬役になる可能性は否定出来ませんので、今回のコロナウイルスに限らず、日頃から適切な衛生管理が必要です。

自分が新型コロナウイルスに感染したか、感染の可能性がある場合、ペットはどうしたらいいの?

もしご自身が新型コロナウイルスに感染した可能性があると思われるときには、ペットをむやみに他人に触れさせたり、ペットホテルなどに預けたりする事は控えてください。預ける場合や動物病院を受診する場合には、保健所や行政機関、動物病院等へ電話でご相談いただき、指示や助言に従っていただくようお願いいたします。

ペットが新型コロナウイルスに感染したか調べることは出来ますか?また、予防ワクチンはありますか?

現在ペットが新型コロナウイルスに感染しているかを調べてくれる検査機関はありません。また、通常の犬コロナウイルス感染症や猫コロナウイルス感染症の検査で、犬や猫に新型コロナウイルスが感染しているかを確認することはできません。

現時点では、犬や猫に感染するベータコロナウイルスは確認されておらず、基本的には新型コロナウイルスもペットには感染しないと考えられています。

 犬の混合ワクチンには犬コロナウイルス感染症に対するワクチンの含まれたものがありますが、これは下痢を起こすコロナウイルスに対するもので新型コロナウイルスに対する効果は確認されていません。また、猫コロナウイルスによるFIPに対するワクチンは一部海外に存在しますが、日本では承認されていません。また犬と同様に新型コロナウイルスに対する効果は確認されていません。

 今後も日本小動物獣医師会では、信頼できる新しい情報を提供して参ります。

まだまだ詳細がわかっていない感染症ですので、ご不安はあるかと思いますが、注意深く情報を確認し、正しい知識をお持ちいただき、家族の一員であるペットの健康管理をしてください。

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